2007年11月14日

無色のパレット

小説・詩 ランキング

波打ち際へ歩いて行く

西日に照らされた海の面には
ガラス細工が揺れている
少し冷たい波風が頬を掠める
眼前を横切った鳶が
音もなく浜辺に舞い降りる
ボードを抱えたサーファーが
近寄って来た

「今 何時か分かりますか」
私は時計を持っていない

あれから一ヶ月が過ぎた
髪型 化粧
話し方 歩き方
何もかも変えてみたけれど
何か一つだけ足りなく思える
アドレス帳から消えた名前
満ち足りた夕食後のひととき
一緒に歩いた時に絡めた指先
伏せ目がちに話す時のタバコの煙
そんなものはどうでも良いこと
魅せられたものに引き寄せられ
この手に触れたら消えて行く
その繰り返しに過ぎないのだから

夕暮れだ
オレンジ色の波間を見つめる
何も見えて来ない
何も聞こえて来ない


それでいい
まだ歩いて行ける
それだけで十分だ

小説・詩 ランキング
ラベル: 詩人 隼駆
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posted by shunk at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 1999年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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