どうしようもない夜のしずけさ

どうしようもない夜のしずけさ
冴え渡る頭の芯まで
吐き出したタバコの煙が
通り過ぎるだけの日々 繰り返しの中
この部屋は片付けるには広すぎる
この記憶は忘れるには鮮やか過ぎる
聞えて来るのは君の声
熱い火花は飛び散らない
冷たい涙は頬を伝わない
ジグソーパズルのラストピースが見つからない
ただそれだけなのに
どうしようもない夜の冷たさ
波風に揺れる難破船
今にも壊れる羅針盤
波間をすり抜け晴れ間へ向かう
地上のルールから逃げ出し
海上の自由を求め流離うも
離れないのは君の声
二人は港で巡り合う
束の間漂う 終焉の香り
溜息よりも切なくて
どうしようもない夜は明けるさ
寂れた街の片隅で
2つの羅針盤は離れて行く
ジグソーパズルのラストピースが見つからない
ただそれだけなのに
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